もう穴に落ちてから三か月が経つ。
正確に言うと今も落下し続けている。時速にすると20kmぐらいだろうか。
最初の頃は底に激突するのを恐れていたが、今では考えるのを止めてしまった。
見上げると穴の入り口が既に針の穴ほどの大きさで光っている。
食事は落下してきた物で済ましている。ときたま私以外の人間と出会うこともある。
どうやら下から吹く気流に差があるらしく落下のスピードは変動しているようだ。
落下中の人は皆、私に気付くとあいまいな笑顔をむける。
私はおそらく心配してるであろう夫と子供の顔を思い浮かべた。
0 件のコメント:
コメントを投稿